設立の趣旨

20世紀後半における経済の大発展の結果、私たちの社会は近代工業文明社会から成熟 社会(少子・高齢化社会)へと変貌してきました。 それと同時に私たち個人一人一人の 自立が進行しており、これまで「地域」や「家族」の持っていた「癒し」の機能が急速に 失われてきています。 とくにわが国の社会における「コミュニティ(地域や家族)の崩 壊・喪失」の速度は、世界的にも珍しいといわれています。  私たち人類は社会的動物であり、一人では生きて行けません。したがって、21世紀は この失われつつあるコミュニティを、いかに支援して復活させるかが社会保障の中心的政 策課題となっています。すなわち、とくに高齢者、子ども、障害者、がん・難病患者およ びそれらの家族・関係者などもっとも在宅ケアを必要としている人たちを、コミュニティ で支えていく機能の再構築が必要なわけです。  このような実情から、私たちは当面、介護を必要としている人たちを直接の対象とし て、在宅ケアの観点から見て現在一番不足している医療・福祉・保健に関するあらゆる情 報を収集して一般に広く提供することを企画いたしました。これを第一歩として将来は、 安心して住めるコミュニティ創りを目指して、ささやかながら貢献していきたいと考えて います。  

 

 定款(一部抜粋)  


在宅ケアの現状の問題点

介護保険が始まり、65歳以上の方は在宅ケアへの移行が可能になってきました。しか し、在宅介護支援センターや訪問看護ステーションが在宅医療を行う医師を全て把握して いるわけでもなく、たまたま運に恵まれた人だけがその恩恵に浴することができるという のが現状です。ましてや介護保険に当てはまらない多くの市民は、医療間の連携・協力が ない中、自力で在宅医を探さなければなりません。千葉ではインターネットや在宅医紹介 本などに数名が載っているだけです。  また、在宅での療養を進めるためには、医療・福祉・保健の各部門の連絡が必要になり ます。介護をする個人にすべてを任せ、支援もない状況では、「在宅ケア」を望んでも躊 躇してしまうはずです。現在、大学病院等大きな病院ではソーシャルワーカーによる相談 室が設けられておりますが、大部分の病院では支援組織がないのが実情です。

・コーディネーターが不在
・コーディネーターの知識不足
・介護力不足
・24時間の支援ケアシステムがない
・病院の医師や看護師が在宅ケアを理解していない
・一般市民に普及していない
・情報の入手困難
・情報が一方向、閉塞的
・医療、福祉の連携がない
・チームケアにおける情報伝達システムが普及されてない
・在宅医療がEBM(ガイドライン化)されていない